美しい月に出逢う旅

~私という自然を生きる~

卒寿と米寿

2023年、敬老の日

大安吉日で秋晴れにも恵まれた、この佳き日に。

実家の両親は「卒寿と米寿」祝いの主役となった。

 

まずは早朝から地元の由緒ある神社にて、祝詞を承る。神主さまのお言葉に、「‥永きに渡り、世のため人のために己を尽くし‥」という一節があり、感動した。特に両親はつい先ごろ(ほんの3年位前)まで、奉仕の気持ちを持ちながらしっかりと働いていたのだ。特に父は、働くこと自体が趣味のような人で経済を廻し続けた。頭が下がる。

また、後半には「益々健やかなることをお祈りし‥」とあり、励ましを頂いた。感謝の気持ちでいっぱいになった。

古い神楽殿。小さいけれど風情がある。

 

次に写真館へ移動して、家族写真を撮影していただく。

これまで御用達だった写真館は、残念ながら閉館してしまった。今回、初めての利用となるこちらは、スタジオが地下と聞いて予約当初は不安だった。両親の歩行が困難になるにつれ、色々な配慮事項が増えてくる。しかし、運よく一階を改装されたため、思いのほかスムーズに進行することができた。お祝いが延期になったために、改装工事が終了したのだ。本当に運が良い。

 

そしてこの後は、すぐに旅館に移動する予定だったのだが、あまりにスムーズすぎて逆に時間が空いてしまった。そこで、一旦自宅に戻り、式服から平服に着替えることにした。今や両親にとって、フォーマルはとても窮屈なものだ。特に、母はワイン色のドレスを着用しており足元に不安があった。また、父のお昼寝タイムも30分取れたため、これもまた結果的には良かったと思う。

 

そうして、予約時間の15分前には宴会場の旅館に到着した。

ここは、息子の成人式の日も活用した思い出がある。久しぶりの訪問で多少は変化があったものの、基本的にはアンティークの古い木材を大切に活用しており、好感が持てる豊かな空間が広がっている。

 

ここで昼食と温泉を十分楽しむことができた。

父の挨拶や弟の祝いの言葉など、其々の口上は決して堅苦しくなく、のびやかでとても良かったと思う。

季節の炊き合わせなど色々。

松茸も美味しかった。

那須黒毛和牛サーロイン

他には炊き込みご飯や留椀もあった。

特製柚子プリン

これがニューヨークのチーズケーキみたいに、硬めで意外性バツグンで驚いた。

 

自宅に戻って、母に手作りのアルバムを手渡した。

目を細めながら見てくれたが、感情表現は乏しかった。おそらく、疲れてしまいおっくうになったのだと思う。そして一言、この時は歩けたのに‥と呟いた。私は何も言葉が出て来ず、苦しい気持ちを抱えるしかなかった。

 

そんな、ほろ苦い場面もありながら、実家のお祝いイベントはつつがなく修了した。

写真館で撮影したアルバムがとても楽しみ。

父も母も正装して姿勢を正し、頑張ってくれていたから‥

 

お部屋からの、緑の借景がとても見事。

東山魁夷先生の生きた絵画のようだった。